フェリパンキは地中海沿岸諸国、南米、オーストラリアなどにおいて、トマトの生産に大きな被害を与えています。フェリパンキを寄生させない、あるいは寄生されても正常に生育できるトマト系統があれば、この被害を軽減できます。
フェリパンキの地中での発芽を阻害するようなトマト系統は既に知られていますので、私たちはフェリパンキが発芽して根に付着しても、そこから先の寄生過程を起こさせないようなトマト系統が無いかどうか、トマトの野生株やマイクロトムというトマト品種のEMS突然変異誘発系統を用いてスクリーニングを行なっています。
私たちはトマトの野生種の一つSolanum pennelliiがフェリパンキ寄生に対して抵抗性を持つことを見出しました。そこで抵抗性であるS. pennelliiと、感受性であるSolanum lycopersicumとの間の近交系統を用いてテストしたところ、上図のオレンジ三角▼の系統が抵抗性を持つことを突きとめました。それぞれの系統のゲノム上のどこがS. pennelliiのゲノム由来であるかはほぼわかっているので、この情報をもとに抵抗性の原因となっている遺伝子を絞りました。
すると二つのトマト品種の間で、病原微生物の感知に関わる受容体遺伝子のタンパク質コード領域に、幾つかの顕著化違いがあることがわかってきました。今後、ゲノム編集技術を用いてこれらの遺伝子機能を証明し、フェリパンキ感受性トマト品種に抵抗性を付与していけたら、世界のトマト生産に大きな貢献ができると考えています。