探索糸細胞

 ネナシカズラが寄生する相手(宿主)の茎に挿し入れていく根のような器官を「吸器」と呼びます。吸器の先端には「探索糸」と言われる細胞があり、宿主の維管束を探索します。私たちは、この探索糸細胞の細胞壁にアラビノガラクタンタンパク質(AGP)という、細胞壁と細胞膜をつないでいるタンパク質が多く蓄積していることを見出しました。ネナシカズラに60個以上あるAGP遺伝子のうち5遺伝子が選択的に探索糸細胞で発現していました。これらのAGP遺伝子は、宿主細胞の探知や探索糸細胞の伸長に役割を果たしていると考えられます。

ネナシカズラの寄生部位断面図。宿主と付着する「付着器」、宿主内に挿入される「吸器」、吸器の一番先端の細胞「探索糸細胞」、が形成される。

吸器の発達と探索糸伸長に伴ってAGPが探索糸細胞細胞壁に蓄積していく。βGlcYはヤリブ試薬というAGPを特異的に染色する薬剤。LM6とLM2はAGPの糖鎖を認識する抗体。48時間目の吸器原基(pha)細胞壁に比べて、72時間目の探索糸細胞(*)細胞壁にはAGP蓄積が顕著である。

探索糸細胞に選択的に発現するAGP遺伝子(CcFLA17CcFLA5)。