small RNAの植物間移行

 生物にはタンパク質をコードしない短鎖のRNA、siRNAやmiRNAを含む small RNA(sRNA)という機能性RNAが存在します。一般にsRNAは標的となるmRNAを分解して抑制したり、翻訳を阻害して抑制したりします。

 ネナシカズラが寄生した時に、ネナシカズラも、宿主植物も、sRNAの生産量を増加させ、特定のsRNAを相手の植物体に送り込みます。この相手の植物に移行したsRNAは、相手の細胞の中で標的mRNAを見つけ出してその機能を抑制します。

 sRNAが寄生植物と宿主植物の、相互の遺伝子発現をコントロールしていることがわかってきました。このRNAを介したコントロールが、寄生関係を持続的に維持するために役立っていると考えられます。

上からNEK3という細胞分裂制御に関連する遺伝子を標的とするsRNA、SurEというヌクレオチド生合成に関連する遺伝子を標的とするsRNA、GH17という細胞壁カロースの分解に関連する遺伝子を標的とするsRNAが寄生植物と宿主植物の間で移行していることをとらえた実験です。

sRNAの阻害作用を配列特異的に阻害するLNAという修飾オリゴヌクレオチドを用いて標的遺伝子の発現抑制が移行したsRNAによって引き起こされたことが示されました。