付着器形成の分子機構

 ネナシカズラは宿主植物の茎に巻付くと、さらに密着度を高めるために、自分の茎の表面に付着器とよばれる突起を形成します。付着器の内側には吸器の原基ができ始めています。吸器が宿主の茎に侵入しようとして突出する時に、逆に自分が茎から離れてしまわないようにするのが付着器の役目です。

 付着器の形成には、根の根毛とか葉の突起のように表皮細胞が突出した構造を作る時に働く遺伝子と同じ遺伝子群が働くことがわかりました。

GL3, TTG1, WER, GL2というのは根毛や葉のうぶ毛を作る時に働いているものと同じ遺伝子です。付着器を作る時にもネナシカズラの表皮細胞を突出させています。

JKDというのは表皮の内側の細胞から表皮形態形成を調節しますが、ネナシカズラでは表皮で発現していることがわかりました。

JKDをサイレンシングするために、第一の宿主にamiRNAを過剰発現させておき、そこにネナシカズラを寄生させてamiRNAを送り込み、第二の宿主に寄生する時の付着器の変化をみました。すると、付着器関連遺伝子群はいずれも発現が抑制され付着器細胞も伸びなくなることがわかりました。

Host Induced Gene Silencing(HIGS)でネナシカズラJKDをサイレンシング。

すると付着器形成遺伝子群もサイレンシングされてしまった。JKD遺伝子が付着器遺伝子群を制御しているようだ。